古代の美術品
兜は皮かフェルト製で猪の牙を縫いつけています。
胸甲は鎧ですが、皮製または青銅製であって、ミケネに近いデンドラから実物が発見されています。
これは細長いいくつかの青銅板でできていて、防御力の剣が発見され、なかには、一つの墓に80以上が副葬されていました。
剣は武人の誇りであるほかに、高貴の象徴でもあったようです。
それで女性の墓からも出土するのです。
一方では、実用としてよりも美術品として、装飾をほどこした剣がつくられます。
青銅剣ですから、日本の場合とちがってその切味よりも装飾に作者は精力を傾けています。
まず剣の柄は木製ですから、それを円、渦巻、獅子頭などを刻文し、あるいは打出した黄金板でおおい、柄頭には象.牙や方解石をかぶせます。
長い刀身の装飾には馬の線刻もみられます。
しかし短剣の装飾に金工は最も力をいれました。
短剣は長さ20センチから30センチくらいの副刀であって、格闘のためです。
しかし王や王族の墓に埋められたのは、実用というよりも美術品としての宝剣。
ピュロス、プロシムナ、ヴァフィオ、その他から装飾剣が発見されていますが、ミケネの竪穴墓の出土品は質も量もとび抜けています。
その多くは、最高の象嵌美術をあらわしています。
そして、象嵌のある短剣(長さ23・8センチ、ミケネ竪穴墓出土、前16世紀)。
獅子狩をする4人の男は槍と楯をもち、1人は弓をしぼって獅子に向います。
2頭は逃げますが、1頭はたちむかって1人が倒されています。
八字型の楯はクレタ風ですが、獅子狩はミケネ的です。
狩人の身体は金、楯と腰布は銀、眼と楯の文様はニエロ。
獅子は金ですが、下腹部と眼は銀らしいです。
細部は刻線であらわします。
なお獅子の前後の脚を前後に伸ばして走る姿は不自然ですが、フライング・ギャロップ(飛ぶ迅走)といわれて、スピード感を強めています。